魅惑の視線
子供の頃より「映画はヨーロッパ」と思い込んでいた大和晶(映画評論家)さんは、1991年にウォン・カーウァイ監督の『欲望の翼』を観て、椅子から転げ落ちそうになる位の衝撃を受けたそうだ。(本人談)
以下、大和晶著 『魅惑の視線(まなざし)』(2001年7月発刊)プロローグより抜粋。
それは、カーウァイ世界を完璧に肉体化し、鮮烈な存在感を放って観客の目を魅きつけその世界に引き摺り込む、魔力的な力を持った俳優。レスリー・チャンだった。
レスリーは、挑発と静謐(せいひつ)、寛容と拒絶、やさしさと冷徹、野性味と優雅さ、悲哀と歓喜、温和とバイオレンス、滑稽と無垢、傲慢と謙虚、愛と憎悪、孤独と人懐っこさといった人間が内包する二面性を、それゆえに複雑で深遠な感情の綾を、瞬時にしてスクリーンに刻み、他を凌駕する術を体得した、特異な俳優である。
観客の好奇心をくすぐり続ける、計り知れない何かを備えた、しかもビジュアル的にも魅惑的な俳優。今、レスリー以外に、その条件をクリアにする俳優を挙げるとしたら、ハリウッドの美しきアウトロー、ジョニー・デップしか思い浮かばない。
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私がジョニー・デップの映画を初めて観たのは、『シザーズ・ハンズ』。劇場で観たので10年以上も前の話だ。その時は名前を覚えてなくて、その後で観たのが『ブロウ』。2003年頃だったと思う。それからいろんな彼の作品を観て、「なんと、(まだ若いのに)変幻自在の素晴らしい俳優だろう!」と思って好きになった。そして去年初めてレスリーを知って、彼の映画を何本か観るうち、最初に思ったのが「ジョニー・デップみたい!」。 今は、ジョニー・デップには惹き付けられなかった、レスリーの人間性にどっぷりと嵌まっている。
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